アリイ 1/24 セリカクーペ2000GT 前期型(RA45)


アリイの1/24セリカクーペ前期型(RA45)です。
かつてLSから発売されていたもので、アリイにLSの倒産後その金型の多くが渡ったうちのひとつ。LSは安価で良質なキットを幅広いジャンルで出しており駄菓子屋などでもよく売られていましたが、90年代前半のバブル期を過ぎた頃に惜しまれつつも倒産してしまいました。


仮組み。パーツ点数は少なめで、形にするだけならサッと組めてしまう簡易な作りですが安易にパーツをボディに一体化したりしていないのは高評価。ただこのキットが発売された当初は車のプラモというのはモーターやゼンマイで走らせるのが当然という時代だったのでそのためのアレンジが多々あります。


車高はかなり低められており、フェンダーアーチもそれに合わせてかなり上にずらされています。またシャーシをスカイラインと共用しているらしく少々オーバースケール気味。


シャーシはモーターライズの機構があまり工夫せず盛り込まれており、内装は上げ底で電池の入れ替えをするフタがシャーシ下面にあります。このキットではモーターライズのパーツは省略されディスプレイ専用となっています。タイヤは中空で少々油っぽい。


シャーシを見るとおり、フロント側のインナーフェンダーが無いのでフェンダーアーチとタイヤの隙間から向こうの風景がみえます。またボディマウントもフロントノーズのあご下に突き出しているのでフロントスポイラーを自作して隠したいところ。


シャーシは車高を上げ、グニャグニャしなるので補強し、フェンダーアーチの隙間から見える部分が見苦しくないように隔壁を立ててゆきます。内装はあきらめて真っ黒のままあまり目立たないようにするのに留め、ボディはフェンダーフレアを削ってプラ板でフェンダーフレアを作り直してフェンダーアーチを下にずらします。


フェンダーフレアは微妙な曲面なので苦労しました。アーチの形がどうにも整わないので四苦八苦。マッドフラップとフロントスポイラーも作ります。スポイラーはもう少し形を練るべきだったと後悔。


加工部分をヤスって整え全塗装。他所のどの作例でも箱絵の赤なので白にしました。無難。フロントマスクはメッキをはがさずに黒やグレーを塗ったらこのあと全部はがれてしまいました…


マスキングして塗る部分が終わった段階。テールランプはやや幅が足りずボディの隅にちょこんと付くのでなんだか昔のヨーロッパ車みたいです。


アルミテープの細切りを貼りこんでメッキモールを再現し、小パーツを取り付けます。ドアミラーはキットに入っているフェンダーミラーの足を削って貼っただけ。実車の輸出仕様の後期型では特徴的な形状のドアミラーがあるのですが、前期型ではバイクみたいなメッキのドアミラー。日本仕様では基本的に全車フェンダーミラーですが、社外ミラーなどでドアミラーにしている車もこの頃は多かったようですね。


スミ入れをして完成。


1977年8月に登場したA40/50系セリカは「スペシャリティカー」の祖となりセンセーショナルな存在となった先代のA20/30系初代セリカの後を受け、より個性的なスペシャリティカーとしてボディを拡大し居住性を向上させその上で排ガス規制によって他社のスポーティカーが牙を抜かれてゆく中にあっても高い性能を保持していました。


エンジンは1.6リッターOHVの12T-Uと同DOHCの2T-G、1.8リッターOHVの13T-U、2リッターSOHCの21R-Uと同DOHCの18R-Gの5種類で、トップグレードの2000GTに搭載される18R-Gは130psを発揮しました。


キャッチコピーとして有名なものに「名ばかりのGT達は、道をあける。」というものがありました。当時排ガス規制によって牙をもがれた他社のGTを冠する車、というか露骨に当時ライバル車種であった日産のスカイラインへのあてつけでした。この当時は「GT」のグレード名はスポーティカーに冠する名誉なグレード名であり、GTならDOHCじゃなければ、という感覚だったそうです。


もっとも、A40と同時期にフルモデルチェンジしていたC210スカイライン(通称ジャパン)のGTが搭載する2リッター直列6気筒SOHCのL20Eは数値上は同じ130psを誇っており、チューニングベースとしては信頼性の高い良好なエンジンでもありました。ただやはりノーマルでは回転フィールが重く眠いエンジンだったそうですが…


しかし日産の技術者にとっては屈辱的なコピーであったのか、後にL20Eには市販車としては日本初のターボを装着され1980年には改良されスカイラインに搭載し反撃に出る事になります。そしてターボかDOHCか?の結論として1982年に3T-GTEU、1983年にFJ20ETといったDOHCターボとなり、未曾有のパワーウォーズに突入してゆきます。


ボディタイプは先代同様に2ドアのクーペと3ドアのLB(リフトバック)があり、後席からは小窓が開くものの閉塞的だったピラーレスハードトップからセンターピラーのある窓の大きい開放的なグラスエリアが与えられ後席の居住性が高められていました。シャーシはオーソドックスなフロント:ストラット/リヤ:4リンクコイルリジッドとなるFR駆動で、2000GTでは4輪にディスクブレーキが与えられています。


1978年にはLBをベースに6気筒2リッターのM-EUと2.6リッターの4M-EUを搭載するためにボンネットが延長されたセリカXX(ダブルエックス)が登場。セリカの系譜として後にスープラとセリカに分かれる分岐点ともなりました。


しかし人気はというと先代ほどではなく、石油ショックに端を発する日本におけるスポーツカー不毛の時代と調度スーパーカーブームだった事もあり人々の関心は海外のエキゾチックカーに向いていたこと、80年代に入り日本車に勢いが戻るまでの正に国産スポーツカーにとっては暗黒期だったために旧車としてもあまり人気の無い有様となっています。


歴代のセリカのデザインを見ると当時のカーデザインの流行が分かると言われた時期がありました。このA40セリカの頃は丸いデザインの終わり頃。この次のA60セリカではうって変わって角ばったシャープなデザインに変わります。そして1990年前後に向けて角からまた丸へ…


ヘッドライトは丸4灯。この頃はヘッドライトも丸から角にかわる過渡期にあり、後期型では角4灯になります。フォグランプの大きさに時代を感じます。


このテールランプは何か同じ頃のカペラみたいに見えます。


適当にそこにあったコロナHTと並べてみました。大きさが同じくらい。実はどちらもオーバースケールだったり…


このキット、何か後引く良さがあります。もう一回作りたい。そんでコテコテに改造したい。